田中さんのお母様(故人)が愛用されていた正絹の訪問着。丁寧に保管されてはいましたが、田中さん自身が着る機会はなく、長らくタンスに眠っていたそうです。
「捨てるのは絶対に嫌だけど、自分が着ることもないし…と思っていたら、ちょうど娘のお産が近くなり、お祝いに何かできないかと思ったんです」
個性を活かしたデザイン
お預かりしたお着物は薄くて丈夫なシルクが特徴。その特性を活かし、裏地にオーガニックコットンを合わせたベビードレスをご提案しました。
着物の柄――細かい絣模様が、ドレスの胸元と裾に美しく配置されるよう、柄の出方を計算してパターンを設計。生地の無駄を最小限に、かつ最も美しい部分が目立つよう、一針一針仕上げました。
「ストーリーカード」で想いを添えて
完成したドレスには、元の着物の来歴を記したストーリーカードを同封しました。
「これはひいおばあちゃんが大切にしていた着物のドレスです」──その一枚のカードが、布のドレスを「家族の宝物」に変えます。
田中さんからは後日、「娘も義理の息子さんも、開けてとても感激していた」とご連絡をいただきました。